俳句の作り方 蝶の俳句
蝶ふれしところよりわれくづるるか 高柳克広たかやなぎかつひろ
ちょうふれし ところより われくずるるか
蝶が春の季語。
「日本国内では在来種で約230種の蝶が確認されている。
『古今集』に〈散りぬれば後はあくたになる花を思ひ知らずもまどふ蝶かな〉と
詠まれているように、花に舞う優美な姿がめでられてきた。 後略」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
蝶ふれしところよりわれくづるるか
句意を申し上げます。
蝶の翅にさわった。
さわった翅の部分か゛私の魂を溶かしてしまうようだ。
わたしは崩壊してしまうのだろうか?
蝶ふれしところよりわれくづるるか
鑑賞してみましょう。
5・5・7音の破調の句です。
蝶がじっとしています。
私は心が動いて蝶の翅をつまみました。
翅は柔らかく温かささえ感じられました。
その感触に私の精神は揺さぶられたのです。
この蝶を食べてしまいたい。
そんな衝動にかられて口元までもっていきました。
ハッとなって蝶を指からはなしました。
ああ、蝶を触ったばかりに自我が崩壊するのです。
わたくしという存在が危ういものになってしまいました。
蝶ふれしところよりわれくづるるか